さっ処分ゼロ の落とし穴

「さっ処分ゼロ」は、

ボランティアにとっても、行政担当者にとっても、とても分かりやすい、活動目標です。

処分機が、稼働しない。

ゼロ。

 

 

でも、実はこれは、「保護された犬猫がすべて幸せになった」ということとは大きな違いがあります。

極論を言えば、保健所や愛護センター内で様々な事情で亡くなってしまう犬猫がたくさ~んいたとしても処分機が動かなければ、さっ処分はゼロです。

 

保護された時に瀕死の状態だった子、

持ち込まれた生まれたばかりの子猫、

今すぐ!専門知識のある人が対処すれば、とりあえず命をつなぐことができるとしても、人手や予算や、医療環境や、衛生状態や、、、勤務時間や、季節や…色々な事情で、タイミングを逃してしまえば、亡くなります。この子たちは、さっ処分数には計上されません。

たとえ、命がとりあえずつなげても、充分な食べ物、暑さ寒さの対策がなければ、飼い主が名乗り出るまでに、里親さんが見つかるまでに、命を落とす子もいるでしょう。処分はされなくても、長い間保健所やセンターで生かされていても、亡くなる子もいるでしょう。この子たちも、さっ処分数には計上されません。

 

 

さっ処分ゼロって、何なんでしょう。

「保健所から来た」子が、とてもガリガリに痩せているのを見ると、充分な栄養が取れるような食事はもらえていたのかな…と心配になります。意地悪で、ご飯がもらえていなかったのでも、職員さんがケチだったわけでもないでしょう…予算がないんでしょうかねぇ。

3~4時間おきにミルクを飲まなければならない子猫はどうでしょう。明日の朝まで置いておいたら、どうなっているか、明日出勤したらどうなっているか、わかっていても、職員さんにも帰宅する時間があります。

 

 

 

何年も、犬猫の保護ボランティアをしていても、

単純に、一律に、「さっ処分ゼロ❕」と叫べないのはこのような事情もあります。

 

そんな現実と向き合って、あきらめも、失望もせず、職務の領域を超えて、何とかしてあげようと努力されている職員さんの姿をたくさん見ています。

ボランティアはわかりやすいお題目にとらわれず、「この子をきっちりケアして間違いのない里親さんを探す」事を、たんたんと行っていくしかないんでしょう。